社会環境対応施設整備資金とは?
企業が安定した経営を行っていくためには、危機管理も重要な要素の一つとなります。
危機管理にはいろいろな面がありますが、災害が多い日本においては、企業が有する施設の防災対策をしっかりと施すということはとりわけ重要度の高いものとなります。
しかし、防災設備の導入などは、直接企業活動の推進に役立つというわけではないので、中小企業はその導入に消極的になりがちですし、実際にそのための資金を調達するのは簡単ではありません。
そこで、日本政策公庫では、社会環境対応施設整備資金という融資制度を設けていて、中小企業も必要な防災設備を導入できるように支援しています。
この社会環境対応施設整備資金を利用するためには、一定の条件を満たす必要があります。
それは、中小企業庁が定めている「中小企業BCP策定運用指針」という指針に従って、防災のための計画を立てるというものです。
この指針では一定の様式の書類が用意されていて、それに基づいて計画を立てることによって標準化された防災対策ができるということになっています。
そのため、社会環境対応施設整備資金を利用するにあたっても、このBCP策定のための書式を用いて書類を作成し、それを日本政策公庫に提出することが必要となっています。
この指針に従って防災計画をすでに立てているのであれば、積極的に融資依頼をすることができますし、もしまだしていないのであれば、日本政策公庫の支店に赴いて必要な書式を確認すると良いでしょう。
この社会環境対応施設整備資金の融資では、最大で7,200万円を受けることができます。基本的に設備投資がこの融資の目的ですが、運転資金のための融資ということでも融資条件が定められていて、その場合は4,800万円の融資が受けられます。
貸付期間は最大で20年間となっていて、運転資金の場合は7年以内と定められています。利率はそれぞれのケースで異なり、担保や保証人などの有無によっても変わります。
まずは基準金利を確認して、そこからどのくらいの優遇があるかを見てみると良いでしょう。
企業の直接的な収益を上げるものとならないため、現実的には中小企業の間では防災設備の充実というのが後手に回ってしまうのが現実です。
しかし、使いやすい社会環境対応施設整備資金という融資を利用することで、万が一のケースに備えることができますので、不安のない経営を続けていくためにも、検討してみることができます。