取締役会廃止の登記手続きQ&A
日本政策金融公庫等から創業融資を受けて資金調達した当初は取締役会を設置していても、以後、役員が辞任したり、死亡したりすることで、役員の人数が足りなくなり、取締役会を廃止しなければならない場合も出てきます。
仮に、金融機関から融資を受けている場合で、経営状態に重大な影響を及ぼす変更が生じた場合は、速やかに必要な登記手続きを行った上で金融機関担当者に報告し、相談しましょう。
必要な手続きを放置していたり、重大な変更があったのにそれを隠していると、金融機関からの信頼を失い、追加の資金調達が難しくなる場合があるので注意しましょう。
例えば、取締役3名・監査役1名の株式会社(取締役会設置会社)において、取締役2名が辞任した場合。
取締役会設置会社では取締役が最低3名必要ですので、取締役を2名補充できる見込みがないのであれば、株主総会で定款変更の決議をした上で、取締役会の廃止の登記手続きが必要になります。
Q.取締役会を廃止する登記手続きの流れは?
A.登記手続きの流れは以下の通りです。
STEP01 株主総会の招集
STEP02 株主総会で定款変更の決議(取締役会廃止を含む関連項目に関して)
STEP03 本店所在地を管轄する法務局への登記申請(2週間以内)
Q.取締役会廃止の登記に必要な書類は?
A.取締役会廃止と同時に、取締役の辞任、監査役の退任、新しい代表取締役の選定、株式譲渡承認機関の変更など、複数の手続きを同時に行うのが通常です。そのため、以下のような書類が必要になります。
・変更登記申請書
・株主総会議事録(変更に必要な事項を全て決議しておく必要があります。)
・辞任届
・取締役の互選書
・印鑑届書
・別紙(登記すべき事項)
⇒取締役会廃止の登記手続きのひな形書式(Word)はこちら
Q.取締役会を廃止する場合の注意点は?
A.「取締役会の廃止」は、単に「取締役会の廃止」だけの問題ではなく、以下の4点に注意して、監査役や代表取締役、株式譲渡等に関する変更登記手続きも同時に考えて手続きを進める必要があります。
1.監査役会を設置している会社(監査役会設置会社)については、監査役会設置会社の旨の定めを廃止する必要があります。
2.監査役を設置している会社(監査役設置会社)について、監査役も廃止したい場合は、監査役設置会社の定めの廃止と監査役の変更の登記
を併せて行う必要があります。
3.取締役会廃止後に、代表取締役を特に限定しなかった場合は、各取締役について代表権付与を原因とする登記申請が必要になります。ただし、定款または定款で定めた方法により、代表取締役を選定した場合は、その旨の登記申請が必要です。
4.譲渡制限株式会社であり、株式譲渡の承認機関を取締役会と定めている場合は、譲渡承認機関を取締役会以外にする定款の変更と、株式の譲渡制限に関する規定の変更登記が必要です。
Q.取締役会を廃止する場合、定款の変更が必要なのは分かりました。では、株主総会では具体的にどのような定款変更の内容を決議すればいいのでしょうか?
A.株主総会で決議するべき定款の変更内容の例は以下のようになります。
(決議内容の例)
1.「(取締役会)第●条 当会社は、取締役会を設置する。」とある規定を廃止する。
この規定の廃止に伴い。代表取締役の選定方法について、定款に次の1条を加える。
「(代表取締役)第●条 取締役が2名以上ある場合は、取締役の互選によって、取締役の中から代表取締役を選定することができる。」
2.会社の株式譲渡に関する規定を次の通りに変更する
「(株式譲渡の制限)第●条 当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する。」
3.「(監査役)第●条 当会社は、監査役を1名置く。」とある規定を廃止する。
以上の1~3は代表的な変更内容ですが、これら以外にも、「●●については取締役会の決議で定める」というような条文が定款にある場合は、その部分についても変更が必要になります。
また、定款の構成として、「第●章 取締役会」というような章がある場合は、その章の全体の削除が必要になります。
つまり、取締役会の廃止のためには、定款全体の見直し・変更が必要になることに注意してください。
Q.取締役会の廃止に伴い監査役も廃止したいのですが、監査役の任期が途中でも監査役を廃止できるのでしょうか?
A.監査役の任期途中でも監査役を廃止できます。
監査役を置く旨を定款で定めている会社が当該定款の規定を株主総会で廃止した場合、当該会社には監査役を置くことができなくなるため、在任中の監査役の任期も満了して退任となるからです。
Q.取締役会の廃止で役員の権限はどう変わりますか?
取締役会を廃止することにより、原則として、各取締役が代表権を持つことになります。
つまり、取締役会の廃止によって、廃止前は代表権が無かった取締役(いわゆるヒラの取締役)も、取締役会の廃止後は、代表権を持つことになってしまいます。
そのような事態が不都合な場合は、残った取締役のうち、従前の代表取締役だけを代表取締役として選定すればいいのです。
例えば、取締役3名中、1名が辞任して、取締役が2名残るような場合(従前の代表取締役を含む2名が残る場合)に、そのうち1名のみを代表取締役に選定することもできます。
ただし、取締役会を廃止する旨の定款変更の決議と同日に、従前と同一の代表取締役を代表取締役に選定したときは、前述の代表権付与による登記は不要になります。
Q.取締役会を廃止する登記手続の費用は?
A.取締役会廃止に必要な登録免許税は以下の通りです。取締役会廃止だけでなく、他の関連項目の登記も同時行うのが通常です。
取締役会廃止…30,000円
株式譲渡承認に関する機関の変更…30,000円
取締役の辞任・監査役退任など…10,000円
合計 70,000円(登録免許税)
加えて、専門家に手続きを依頼する場合は、専門家への報酬が10万円前後かかります。
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