信用保証協会・信用保証制度について理解しよう
日本政策金融公庫に次いで、新規開業者が創業時の資金調達の際にお世話になる組織として、信用保証協会があります。
信用保証協会とは、「信用保証協会法」に基づく公的機関です。事業経営に取組む中小企業が金融機関から事業資金の融資受けたい場合に、信用保証協会が保証人になることによって、金融機関からの借入れが容易になるのです。
銀行等の金融機関から融資を受けた中小企業が、万が一、金融機関からの借り入れ金を返済できない場合は、企業に代わって信用保証協会が金融機関に返済することになるので、金融機関側としても安心して企業に融資ができるというわけです。
このような仕組みを「信用保証制度」といいます。
信用保証協会はどこにある?
信用保証協会は原則として都道府県ごとにありますが、地域によっては、「県」の信用保証協会とは別に「市」の信用保証協会がある地域もあります。
例えば、東京都内には、東京信用保証協会の1つしかありません。
しかし、神奈川県内には、神奈川県信用保証協会・横浜市信用保証協会・川崎市信用保証会の3つがあります。
また、愛知県内には、愛知県信用保証協会・名古屋市信用保証協会の2つがあります。
ちなみに、大阪府内には、「大阪府中小企業信用保証協会」と「大阪市信用保証協会」の2つがありましたが、平成26年5月19日付で合併し、「大阪信用保証協会」の1つとなっています。
信用保証協会は「立て替え払い」を行う
ただし、信用保証協会もボランティアで保証人になるわけではありません。
信用保証協会が金融機関に返済するのは一時的な「立て替え払い」(代位弁済)です。
つまり、信用保証協会が金融機関へ立て替え払いした金額は、信用保証協会が本来の債務者である融資を受けた企業に後で請求することになります。
信用保証を利用できる中小企業とは
信用保証協会の信用保証制度を利用する前提として、企業の規模や業種が信用保証協会の定める条件を満たす必要があります。
信用保証協会は中小企業の支援をするための組織ですので、一定以上規模のある企業は信用保証制度を利用することができません。
資本金または常時使用する従業員数いずれか一方が以下の条件に該当していれば信用保証制度を利用できる事業規模です。
新規開業者の事業規模は、特段の問題無く以下の中小企業の条件に該当するはずです。
- 製造業等→ 資本金3億円以下 or 従業員300人以下
- 卸売業→ 資本金1億円以下 or 従業員100人以下
- 小売業(飲食業を含む)→ 資本金5,000万円以下 or 従業員50人以下
- サービス業→ 資本金5,000万円以下 or 従業員100人以下
- 医療法人等→ 従業員300人以下
上記の分類で製造業等の「等」とは卸売業・小売業・サービス業以外の業種をいいます。
【業種事例】
建設業、不動産業(建売業、不動産賃貸業、貸家業、貸間業、不動産代理業・仲介業、不動産管理業)、運送業、通運事業、倉庫業、印刷業、出版業、ガス供給業、損害保険代理業、土石採取業、鉱業など
業種としては、商工業のほとんどの業種で信用保証制度を利用できると考えて差し支えありません。
ただし、農林・漁業、遊興娯楽業のうち風俗関連営業、金融業、宗教法人、非営利団体(NPO法人を含む)、LLP(有限責任事業組合)等の一部の業種・組織では信用保証制度を利用できません。
対象外の業種については各地域の信用保証協会で判断が異なる場合がありますので、最寄りの信用保証協会で確認するのが確実です。
信用保証協会も事業計画書を審査する
当然のことですが、信用保証協会は無条件に融資申し込み者の保証人になるわけではありません。
そもそも上記のような「立て替え払い」を信用保証協会として行わなくてもいいように、融資申し込み者が提出した事業計画書の内容等に基づいて、事業の実現可能性、資金の返済可能性等が慎重に審査された上で保証の可否が判断されます。
事業計画書の内容が稚拙であれば、信用保証協会の審査で落ちて保証人になってもらえないことになります。結果として、銀行からも融資が受けられなくなります。
つまり、日本政策金融公庫から融資を受ける場合も、信用保証協会の保証付きの銀行融資を受ける場合でも、事業計画書の内容が重要である点は同じだということです。
→ 実際に融資に成功した事業計画書の例