担保余力とは?
担保余力とは、担保の目的物の評価額と担保設定額あるいは担保の対象になった債権との差額を言います。担保にできるものとしては有価証券や不動産などの有形固定資産があります。たとえば、評価額が総額1,000万円の不動産があって、ある借り入れに対し700万円分を担保とした場合に、担保余力は300万円です。 担保余力があれば、それを担保としてさらにお金を借りることが可能になります。
ただし、担保となる不動産の価値が低くなると担保余力も少なくなり、融資枠も減ってしまいます。ですから、担保余力がどれほどなのかをきちんと把握しておくことは資金繰りを検討する上で非常に大切なことです。土地の評価額は国税局が公表している路線価に基づいて計算することができます。もし、不明の場合は不動産会社に売却価格を確認できます。また、建物の評価額の算出には1平方メートルあたりの建築単価や建物経過年数、減価償却耐用年数などが関係しています。
設備資金や運転資金を借り入れたいと思う場合、金融機関は担保を要求してきますので、担保にできる金融資産があることは、中小企業の経営者が資金調達をする上で大きなメリットになります。また、金融機関は無担保融資をする際にもその会社の担保余力を検討します。担保余力は資金調達余力と関係しているからです。資金調達余力があるということは、返済が可能ということなので、融資の審査において有利になります。
金融機関では担保余力があるかどうかを検証する際に会社の資産だけでなく経営者個人の資産も考慮します。たとえば有価証や定期預金などの資産です。定期預金担保の評価額は額面金額になります。有価証券担保は、上場の株式なら現在の株価の50〜60%を担保価値とみなします。非上場の株式の担保評価額はないので担保余力とみなされません。国債であれば額面が評価額になります。融資をスムーズに受けるためには、法人と個人の資産を取引金融機関に開示することも必要になります。
担保となる不動産の資産価値の低下とともに担保余力は減少しますが、逆に資産価値が上がれば担保余力が拡大します。担保余力が増えるということは融資可能枠も増えるということです。また返済が進んでいくと担保物件との差額が大きくなるので担保余力が増えることになります。担保余力が増える兆しがあれば、銀行などの金融機関は追加融資を受けて、運転資金を確保できるようになります。