劣後融資とは?
まず「劣後」の意味ですが、複数の銀行から借りたお金を返済する際に、A銀行への返済を優先させてB銀行への返済を後回しにした場合、B銀行の借り入れを「劣後する」と言います。
もし返済に行き詰った場合にはすべての借入先から返済猶予を求めるべきで、特定の銀行だけ返済を後回しにするということはできません。
一方、劣後融資というのは、仮に返済が行き詰った場合、うちの銀行への返済は後回しにしてもかまわないという条件で銀行が融資をすることです。
もし融資先の会社が倒産すると、まず従業員の給与や税金などの支払いが行われ、その残りを各債権者が回収します。
劣後融資をしている銀行は債権者の中でも順位が最後になるので、その時点で回収可能な資産がわずかしかない、あるいはほぼ残っていないという状況になります。
そのことを考える金融機関からすれば負債というよりは株式に近いので、負債ではなく資本とみてくれます。
劣後融資を受けた場合は資本(純資産)となり、自己資本比率が改善されるため追加融資も受けやすくなります。
デメリットは通常よりも高い利子が設定されることです。また、返済期間も長くなることが多いです。
劣後融資は負債ではなく資本とみなされますが、財務状況が良くなるわけではないのでデメリットも十分考慮した上で選択する必要があります。
劣後融資の中に、日本政策金融公庫の挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)というのがあります。
金融検査の際には自己資本とみなしてもらうことができます。
万が一、法的倒産手続きが開始された場合は全ての債務が劣後になります。
国民生活事業の資本性ローンは融資限度額が4,000万円で、返済期間は5年1ヵ月以上15年以内です。
金利は売上高減価償却前経常利益率によって決まります。
5%超の場合は貸付期間によって5.15%〜6.05%の間になります。
0%以上5%以下なら3.05%〜3.50%、0%未満なら0.90%です。
中小企業事業では融資限度額が1社あたり3億円で、返済期間は最長15年、最短5年1ヵ月で期限一括償還です。
金利は貸付後1年ごとに、直近決算の業績によって決定され、利率は3つに区分れています。
たとえば、新企業育成貸付又は企業活力強化貸付を適用した場合で、返済期間が15年なら金利は5.40%、4.10%、0.40%です。
劣後融資では新規性や成長性が融資の可否のポイントになるので、事業計画書の内容がかなり重要になってきます。