npoバンクとは?
NPOバンクは、地域福祉、環境保全を目的に活動するNPOや個人に融資するための組織で、市民が自発的に出資してサポートしています。「市民金融」や「金融NPO」とも呼ばれます。最初に設立されたのは1994年で、東京都の「未来バンク事業組合」です。現在では全国各地にNPOバンクがあります。
NPOバンクでは、組合員になっている市民やNPOが1口数万円単位の出資を行い、それを元に資金を必要としているNPOや個人に融資しします。金利は1〜5%程度と非常に低いので、借入れる側は返済負担をかなり抑えることができます。出資する側からしても、自分が自発的に提供した資金が目に見える形で活用されるという満足感を得ることができます。ただし、出資金を自由に引き出せない、元本保証がないというデメリットもあります。
融資のための審査は、税理士等の専門家が財務面、独創性、社会性という様々な観点から行っています。融資を受けるまでには何回も面談が必要になることがあり、融資を行った後も、ウェブサイト等で融資先を公開し、透明化を進めているので貸し倒れが非常に少なく安定した運営が可能になっています。
全国各地のNPOバンクではそれぞれに特色が見られます。神奈川県にあるWCA 女性・市民コミュニティバンクでは女性・市民を中心に市民事業等を支援しています。宮城県の天然住宅BANKでは、天然住宅を購入した人の住宅ローンの一部や省エネ家具などのための融資を行っています。また、森林を守るため、あるいは復興住宅を建設するための出資を募っています。
京都府に本部がある信頼資本財団では、農林水畜産業や医療、教育、環境、福祉、人権などでの分野で「信頼」関係の向上に役立つ事業を対象に、融資を行っています。信頼資本財団では助成事業も行っており、被災者や国際協力、教育を支える事業などに助成を行ってきました。全国にはその他にも公益社団法人難民起業サポートファンドや生活サポート基金、NPO会計税務専門家ネットワークなど、様々なNPOバンクが設立されています。
2005年1月からはNPOバンクの連絡組織である全国NPOバンク連絡会が活動を始めています。全国のNPOバンクの他に、公認会計士や弁護士、NPOサポート団体などと幅広いネットワークを形成しています。当連絡会は、市民金融や市民事業の発展のため法制度や税制を中心とした問題の対応に取り組んでいます。