普通貸付
普通貸付制度の概要
国民生活金融公庫の数ある融資制度のなかで、もっとも基本的な融資制度。それが「普通貸付」です。
新規開業段階でも、業歴が古い方でも利用可能。
「新規開業融資」と異なり、開業後の経過年数や過去の事業経験などの融資対象資格の制限がありません。
資金使途 | 運転資金 | 設備資金 | 特定設備資金 |
---|---|---|---|
融資限度額 | 4,800万円以内 | 4,800万円以内 | 7,200万円以内 |
返済期間 | 5年以内 | 10年以内 | 20年以内 |
(うち据置期間) | (1年以内) | (2年以内) | (2年以内) |
利率 | 基準利率(使途や返済期間により異なる) | ||
保証人・担保 | 原則として必要。 |
融資対象となる業種
ほとんどの業種が融資対象です。
ただし金融業、投機的事業、一部の遊興娯楽業等は、中小企業振興・新規開業促進というわが国の政策目的に合致しないため、融資対象外となっています。
また国民生活金融公庫の内規により、上記対象外業種のほかにも一部業種については融資対象外です。
例えば農業については、国民生活金融公庫では融資対象外です。
そのため、農業協同組合(JA)か農林中央金庫を利用することになります。
なお「生活衛生業種」(飲食業、理美容業など)については、普通貸付の対象業種ではなく、国民生活金融公庫の別の融資制度「生活衛生貸付」で融資対象となっています。
融資対象となる会社規模
個人事業、会社いずれも融資対象です。
ただし国民生活金融公庫の内規により、規模の大きな会社については融資対象外となります。
業種により、資本金等の上限が定められている模様です。
具体的には、国民生活金融公庫の各支店に問い合わせて融資対象となるかどうか、確認する必要があります。
資金使途
- 運転資金…仕入代金を支払ってから、販売代金を回収するまでの期間に必要となる資金
- 設備資金…機械装置、事務所敷金など固定資産取得のために必要となる資金
- 特定設備資金…業種を変更する場合、特段の事情により事業所を移転する際に必要となる資金
固定資産取得目的の資金ほど、返済期間が長めに設定されています。
融資限度額
- 運転資金 …4,800万円以内
- 設備資金 …4,800万円以内
- 特定設備資金…7,200万円以内
上記はあくまで「限度額」であり、融資資金の具体的な使途、事業に必要となる資金規模により個別に実際の融資可能額が決定されます。
金利
基準金利
大手企業が民間金融機関から借入れするときの優遇レートである「長期プライムレート」と同水準で借りることができます。
返済期間が長くなるほど、借入金利が上昇するしくみになっています。
信用の裏づけも過去の実績もない、新規開業者や中小事業者であっても、大手企業と同等の金利で借入れできるのが、大きなメリットですね。
保証人
原則として、生計を別にする安定的な収入がある方1名が必要です。
普通のサラリーマンでもOKです。
ただし年金のみで生活されている方を保証人として申請しても、認めてもらえる可能性は低いようです。
また国民生活金融公庫からの融資返済が延滞している方については、保証人不適格となりますので、ご注意下さい。
保証人のあてが見込めない場合には、保証人・担保なしでも融資を受けることができる「新創業融資」「経営改善貸付」制度の利用を検討することをおすすめします。
なお開業後2事業年度の税務申告の実績があり、かつ税金をきちんと納付している方については「第三者保証人等を不要とする融資」制度の利用が可能です。
これにより、同一生計の親族(配偶者、子息など)、あるいは会社従業員を保証人に立てることが可能となります。
不動産担保
1,000万円を超える大口の融資取引の場合、不動産担保の差入れを要請されるケースが多いようです。
逆にいえば、不動産担保を差入れすれば、高額の融資を引き出せる可能性が高いといえます。
担保評価額は時価の70%が目安です。
ただし個別の物件事情によっては、それより低い評価とされるケースもあります。